Mar,10 2015 布陣

アルガベルカップ、グループリーグを終了して1勝2敗。

結局9~10位決定戦に回ったなでしこだが、これまでにないほど連携の悪さとミスの多さが顕著だった。
研究されたという事がひとつの理由であるが、それはビルドアップの最中に圧力を掛けて中盤でのパス回しでミスを誘い、カウンターで仕留めるというものに起因する。2011年の決勝での最初の失点もそうだが今回多く見られた、なでしこ攻略のスタンダードと言って差し支えない戦術だ。

2011年以降パワー・スピードに差の無いアジアは別として、アスリートとしての基礎能力に勝るチームからしてみれば比較的簡単な攻略法だが、それはピッチを広く使うというコンセプトに基づく4-4-2の布陣故のものではないのか。
圧力で高い位置を取れない最終ラインと中盤のスペースが開き、中盤の距離感が悪いために横もしくはバックパスで繋ぎながら縦のパスを入れるタイミングを探す、持たされているだけで圧力にさらされ汲々とし、ハーフウェイライン辺りでギリギリのパスで繋がざるを得ない。
ボールを持ってはいても実は攻められているような状態。

布陣が全てではないが、特にチームとしてのパフォーマンスが問われるなでしこの場合はその重要度が高くなるのは必然。ここのところ常に4-4-2の布陣で戦っているが、中盤の枚数が足りずミスを繰り返している。ならば、いつのゲームだったか忘れたが、選手から進言があった4-2-3-1にしてみてはどうか。
佐々木監督の言うポリバレントは布陣の柔軟な変更があってこそのもので、4-4-2固定ならむしろポリバレントというより(そのポジションの)スペシャリスト化するほうが理にかなっている。
選手選考でいえば高瀬・菅澤は2011年より多く試されてきたが世界レベルでは結果が出ていない、大野も衰えが見られるのだから、ポリバレントも新戦力開発と併せて考えればいいかげん他の選手選考を願いたい。もちろん、高瀬・菅澤のように使うなら中途半端でなくしっかり使って見極めて欲しいのだが。

薄い中盤の枚数を増やすことで距離感が悪くパスカットされやすい状況を改善、中盤を5人にすることで三角形が増えるのでダイレクト・ワンタッチの小気味良いなでしこらしいパスワークも取り戻せる。

海外での経験があり、能力が高いとはいえ宮間は守備は今ひとつでボランチの位置ではボールも失い勝ちだが、ボランチを坂口とフランスでの成長著しい宇津木とすることでボランチでの収まりは良くなるし、宮間の守備の負担が軽くなる。宇津木はフランスでやってきているからなでしこの中でも人にも強い、宇津木と宮間が時として縦位置で入れ替わることでマークを外す事も可能だろう。
今の布陣と比べて短所を減らし長所を生かす形にはなるまいか。ワントップは大儀見となるが、トップ下の宮間と距離が近くなれば双方世界レベルの武器を持つもの同士、得点チャンスは必然多くなるだろう。

これを書き始めるまで昔は4-2-3-1と勘違いしていたのだが、佐々木監督にはぜひこの布陣を試して欲しい。

今回の遠征メンバーで組むとすれば、GK福本(海堀) ディフェンスラインは左から鮫島(有吉、鮫島が復調しなければ)、アジアカップ以来伸びているし今回も安定してきている川村、今回不調だが熊谷、右は近賀だがこれも不調なら有吉もありか。
中盤はダブルボランチが宇津木と坂口、左川澄トップ下宮間に右安藤、ワントップは大儀見。

カナダではボランチに澤が入ってもいいと思う。縦に大儀見・宮間・澤と並んだらほかのチームから見たらどうか、マークは分散するだろう。脇の川澄と安藤も世界に伍して劣らない二人だが、中盤がしっかりすればサイドバックの上下動も増えるから起点も中の縦ラインだけに収まらなくなる。
また、時により宇津木をアンカーに据えて4-3-3に変えるのもありかも知れない。サイドハーフを宮間というのはちょっと合わない気もするが、相手によってはこのゼロトップとなるこの布陣も勝つためには取り入れていいものではないのか。

本番までは時間があまり無いが、なでしこならポリバレントな布陣にも短期間で対応できるはず。自分たちのために、がんばって欲しい。

窮地だが remach of final 2011&2012