Feb,29 2012 醒めた魔法
結局U23は可能性に対し必死で挑んだバーレーンがシリアを下すという落ちがついて、最終節ホームでのバーレーン戦で負けなければ、負けても得失点差を埋められる大敗+シリアの大勝が無い限り突破となった。
協会のリスクマネージメントの下手を微妙な日程がカバーしてくれた格好と言って差し支えない筈。
だが、このリスクマネジマントの下手がA代表でも出てしまう。
『慣らし』のアイスランド戦はつまる所興行として成功しただけで、個・チームいずれを見ても収穫は殆どない、敢えて言うなら経験者は老獪で、いざとなったらそこに頼らざるを得ない、荒削りでもそこを脅かす存在が出てこなかったということの認識を今更、最終予選の前に確認できたことだけ。
本番であるウズベキスタン戦の戦前は、勝って当然、宮市のデビューはあるか、出たとしたらどこまでやれるか?そんな報道・雰囲気が蔓延していたが、実際ホームでのある意味消化ゲームは、負傷者を除くベストメンバーでモチベーションの上がらないウズベクをどう叩くかに絞られるのは仕方ない事かも知れない。
だが、蓋を開けて見れば二軍の筈のウズベクに終始ペースを握られ、日本は攻め手を欠いたまま屈辱的な敗戦のホイッスルを聞く事となった。
二軍でもしっかり練ってきたウズベクは見事としか言いようが無い、興行的な部分だけで呼んだとは思いたくないが、日本の海外組は普段の動きに程遠く、最終予選まで集まる機会が無いからという理由が有るにしても、このコンディションでは連携の確認もおぼつかない状態で、トンボ帰りで所属チームへ戻る事を併せればとんでもないリスクマネジメントだった。
確かに香川は動けばドルトムントでの調子の良さを垣間見せたが、日本のトップ下に求められるボールを収めるという点では足りず、マガトが使わないだけの理由が一目瞭然だった長谷部と、ウズベクに消されたか・消えたかわからない遠藤では攻め手を欠くのも仕方が無い。収まりどころが無いのでいつもの分厚い攻撃がなく、個の力で築いたチャンスもフィッシュの精度を欠いた事で別のチームへと変貌してしまった。中村憲剛はこういうときのために呼んでるのでは?
つまらない北朝鮮でのアウエーゲームを落としたことでミソが付いて、名前だけで造ったチームが収穫もなく敗れたことで魔法から醒めた。
どうにも痛い、後に引きずりそうな敗戦ではあるが、魔法により纏わり付いた慢心・油断といったものを落とすことが出来た。まだ何も得ていないのに、既に何かを手にしていた様な雰囲気があったが、シードを失いオーストラリアや韓国といった難敵と対峙して勝って更なる高みへ昇り、切符を手にしてもらいたい。
連荘でなでしこのゲーム。
A代表が酷いゲームだっただけに、こちらもほぼベストメンバーをそろえたなでしこに寄せる期待は大きい。
でも、こちらもコンディション不良からか、寄せが甘く連動性を欠いていた。それでも昨秋のアジア予選同様に身に付いた格というか、底力で辛勝ではあるが勝ちきった。
このあたり、選手のスケジュールがきつい男子とは違いもあるだろうが、佐々木監督の巧さを感じる。全体の底上げという意味では、未だ澤・宮間の二人に依る部分が大きい事をまたもや露呈し長いスパンが必用な事を感じたが、ロンドンへの序章の序章とすれば結果が出たので良かったのではないか。
WC以降大分日本は研究されているだろうが、今までは蹴りこむだけだった女子サッカーがスペクタクルな物に変わりつつある。
この変化は当然女子サッカーという興行的に希望が持てると思うし、その最先端がなでしこなのだから誇らしくも思う。今後は追われる身なのだから、より辛いかもしれないがロンドンで金を取るために常に熱く醒めてもいて欲しい。