Jun,26 2019 でも、また咲くよ

戦前思ったのははアルゼンチンとスコットランドには勝ってイングランドに負けて2抜け、Round of 16で負けるというもの。
アルゼンチンにスコアレスだったのは予想より下で、よく言われる決定力不足に泣いた形だが、今朝のオランダ戦も今回のチームをよく現している。
とりわけ79分の杉田のポストを叩いたシュート、80分にセーブされた籾木のシュート、何れもフリーの状態でボールを置く位置も悪くなかったが、キーパーの手の届かない枠内に蹴れなかった。前半から決定機は有ったが外した。決定機をどれだけ作ろうが決め切れなければ勝てない、ポスト含めた枠外シュートや正面に飛ぶシュートが多くて惜敗と言うのはちょっと違うと思う。上手いが強くないのが今のなでしこ。アンダー世代、とりわけU17のサッカーから脱皮できてない、脱皮させるのは監督であり2011メンバーがその手ほどきをする筈がそもそも選考から漏れた。
先制されたシーン、2011の決勝の澤のゴールに近いが、2015の決勝同様に自分達がすることは有ってもされることはない、若しくはアンダー世代だろうが優勝経験者だっていう驕りは無かったか、あれ、ニアに蹴られてドフリーだったよな。
長谷川の得点シーンに象徴されるパスワークからの攻めは上手で美しい、そして2-1、それもあのPKでの負けから美談の様に言われるが単にシュートが下手、玉際が弱いってだけだ。

オランダ戦について、勝利に値した等と言われるがFIFAのスタッツを見ると値しない事が解る。

ポゼッション・パス本数・パス成功率何れも下回っている。シュート本数は同数だが枠内シュートはオランダの方が多い。ディフェンス面、タックルで大きく劣りブロックで大きく上回っているのはアタッキングサードでぎりぎり防いでるケースが多い事の表れで、2011優勝時のメンバーで誰だったか忘れたが連動したプレスからタックルでボールをかっさらうと言ってたから、以前より押し込まれるようになっているという事だ。ブロックで防ぐことが多いからセカンドボールを拾われるし、マイボールにした後のゴールまでの距離が長いのだから例えば、ポゼッションの数値以上に有効に持ててもいないことになる。
枠外シュートの多さは一つ、コパでの岡崎の様なオフザボールの動きが足りなくてスペースがなくマークきつい難しい玉際で打ってるから。しっかし杉田のバーを叩いたボールの先にいた菅澤、勘が悪いというか持ってないと言うか、体のどっかに当たって跳ね返りがゴールしても良さそうだけどな、そんな運も付けられないのは上手くても強くないからだ。

で、80分に籾木のシュートをセーブされた後のコーナー、その一連のプレー後に引いた。
ゴールキックだもん(ポジション・位置的に)引くのは解る、がしかし暫く押し込んだ展開だったのに本当の意味で引いた(ように見えた)。押し込んだ展開が続いたから、また押し込めると思っていたのかも知れない。でも、その弛緩した時間にオランダは2枚変えて足の上がったチームを変えてきた。そこからは押し戻されて、88分にあのPKを与えるシーンになった。

少なくとも、蹴られてから左肩~腕を後ろへ回してるから故意とは取られないかも。手は広げたが、ああいったギリギリの場面で体を動かすに腕が広がるのは仕方ない、ボールは腕より胸に先に当たっているようにも見えた。だからコパでもそうだったが、VARって何のためかって思うし、それならエリア内で蹴った者勝ちになりかねない。VARっていう一見正確に見える道具を使って、公正が棄損されかねない、笛を吹く者にはこれまで以上に正確性と良識が必要になる。

ただ、VARどうの言う以前に、熊の前で蹴られる前にどうにかできた。酷なゲームと言われるが、準備段階から考えれば必然でもあった、それでもこのゲームは、機微、時事刻々と変化する勝負事の流れを読み取れば結果は変わったかもしれない。
岩渕は足が攣ってたけど、変えなかった。多分あの時点では変えが利かなかった、高倉さんにその勇気がなかったのは準備不足もあろうが、微妙に引いた、圧が下がった事、そういった機微を読み取る勘もなかった。4-4-2と4-2-3-1とを併用するシステムで、トップ下・シャドーができる人材はベンチにいなかった。
結局勝ちこされてから岩渕を変えたが完全に後手に回ったし、宝田使うなら菅澤と変えて長谷川を岩渕のポジションにして小林(遠藤でもいっか)を長谷川のポジションにって手もあったと思う。
そもそもアタッカータイプが多くて、トップ下やシャドーをフランスでやれる選手が他にいなかった。岩渕の変えは長野(風)呼んでればって思うが、永里や川澄といった経験値の高いメンバーがもう一人二人いればもっと楽に勝ちにいけただろう、あんな"酷"と言われるゲームにはなってなかったと思う。

8年前、帰国後の合コンで相手の男にメダルを噛ませた"おばか"な娘が、(多分)世界一のクラブチームの主力を努めて必死に澤の背中のその後を担ってきた。だからあのハンドが故意でも、レンヌのピッチでどれだけ取り乱しても泣いても全く責める気がしない。高倉さんの準備段階から物言いをして、それでもセミまでは行って欲しいと思っていたし、熊にはリヨンのピッチに立って欲しかった。

女子は五輪もW杯もフル代表だ。五輪まで後1年、長いか短いかは協会次第だし個々の選手次第でもある。
今日、このタイミングで田中(陽)が海外への移籍を発表した。
安藤(梢)はフィジカルの弱さに依る玉際の弱さなどを指摘したが、今日負けた相手と普段から同じ土俵でやっていないとTokyoでも酷い目に遭いかねない。

でも、今日レンヌのピッチに流した涙が呼び水になって、4年後にまた撫子の花は咲くだろう。

ブラジルからフランス 経世済民