Mar,04 2024 立ち返る場所

昨年のアジア大会と大幅にメンバーを入れ替えまた若い選手を多く入れてきた北朝鮮は、技術がありフィジカルもあったものの、決定力を欠いていて強くはなかった。
力量を比較すれば日本の方が上、ただこの予選を通ればロンドン以来となる五輪予選であることと、リオを逃して以来低迷した女子サッカーを思えば負けられないプレッシャーがある日本と、過去にないようなスカウティングの上でアジアの競合たるプライドも捨てなりふり構わぬやり方をしてくる北朝鮮では、双方プレッシャーがあるが日本の方が難しさはあっただろう。

スタメンを見た限り4-3-3かと思ったが3-4-2-1の布陣で、入りは初戦と異なりじっくりとあせらず責め上がるものだった。
初戦で手の内を見せた北朝鮮に対し、WBを絡めてビルドアップすることで中盤に人数を欠けて距離感を保ったまま攻めあがる。ビルドアップに時間をかけて隙があればパスを通すが無ければ下げて相手を引っ張りギャップを生もうと試みる。持たされている中でムリに縦に付けようとした初戦のようにビルドアップ中に奪われ、攻守の切り替えになることが少ない、アタッキングサードに入れず攻守が入れ替わっても3バックの裏に入られることも殆ど無い。
守備的と捉えるよりはしっかりと組み立ての出来る3-4-2-1といった形、4-3-3で両サイドから攻め込み圧倒するというものではないが、リスクヘッジをとりつつ主導権を渡さない試合運び。それと初戦にはなかったシュートの意識から枠には行かないがミドルもあり、流れの中で何度かシュートチャンスを作る。決定的なものはないが、ゴール前を固める相手にはミドルで少しでも剥がすのは当たり前のやり方で、ゲームの中での継続が求められる。決定機はないが北朝鮮にもチャンスらしいチャンスも作らせない。
そんな中セットプレーから高橋が押し込み先制に成功、バーに当たった跳ね返りの五分のボールをうまく落下点に入った高橋が蹴り込んだ。綺麗なゴールではないが、結果が大事なゲームであり、これで北朝鮮は前に出なくてはならなくなったことから良い守りからカウンターで追加点を狙える良い展開になる。
前半終了前にヒールでのシュートがゴールを割りそうになったが、よく見ていた山下が掻き出し難を逃れた。泥臭い点にGKのファインセーブ、勝つための要素は日本にある。
後半やや持たれるところはあるが、バックラインではじき返しセカンドも五分以上。カウンター的になったところで左IHの長野が右WB清水へ精度の良いパス、清水は1タッチで対峙するDFの股を抜いてクロスを上げると、そこにヘッドで入って来た藤野が決めて2-0として体勢を決めた。
先制した高橋が1対1を交わされ1点を返されたが、北の反撃を凌ぎ勝ちきった。

最大の勝因は相手の戦術を無効化し日本のポゼッション力を少しでも生かすやり方に変えたことだろう。左の遠藤・宮澤がいない中、池田体制になってから使い続けた3バックとしたことで、はめやすくなったし、北のロングボール主体の攻め手を潰すこともできた。北の戦術を潰せたこともそうだが、通してやってきた形に戻すことで準備期間の無いゲームでもチームの意思・戦術を解りやすいものへ出来たことも大きいだろう。
遠藤・宮澤のいない左からの攻撃は少なかったし、全体に細かいミスなども見えたがこうしたゲームでは結果が第一である以上、このゲームに関しては上々。
3バックがロングボール対策として嵌ったこともあるが、急造の左やチームとして全体を合わせることが難しかった今回、立ち返るものがあったことが大きい。

先のことを考えれば層の薄さへの対処が必要(既にパリに遠藤は間に合わないが)で、清水が何かで出られなくなった場合そうするか、3バックでは消長激しいからWB左右ともバックアップは必要だし、アタッカーも裏の取れる速い選手が欲しい。
3-4-2-1にはまらない選手が多ければ、布陣は選手の性質に合わせ4-2-3-1やなでしこが長くやってきた4-4-2とするのもありだし、その程度の変更ならゲーム中に変更もできるだろう。この場合ボランチは長谷川と長野に林もいるし、2トップにするなら左右のアタッカーは裏を取るタイプでなくても(相手によるが)なんとかなる。SBは高い位置をとりつつ守備時は戻ることになる、そのトランジションの激しさとバックアップの必要性から3バック・4バックにかかわらずSB・WBとして2枚ずつ要ることになる、清水・遠藤の代役は未だ見つかっていないようだが代替(人か戦術)を落とし込みパリに間に合わせて欲しい。

なでしこは矜持を取り戻せるか AI made perfect swell