Dec,03 2022 凡愚故か
最終節でスペインに2-1で逆転勝ち、負けない、勝つ可能性もあるとは思ったが前半の内容からすると失点を重ねることも無ければ得点の臭いも無かった。
三苫と堂安を入れるのもスペインは折込済みだったろうが、前半と違い頭からハイプレスでズレを造らせてショートカウンターで畳み掛けてきた。エンリケには想定内ではあったろうが、スペインの守りはドイツよりいささか脆弱だったかも。
その前へ出て取りにいくという徹底した気持ちとプレーが三苫の数ミリ残しの折り返しに繋がったのだろうし、逆転した後一時的にコスタリカがドイツを逆転した時間があったからドイツが逆転するまではエンリケも肝を冷やしただろう。ドイツ-コスタリカが3-2になった時点でコスタリカには2点が必要だったからそこからは最悪このまま負けて2位通過で良いと考えただろう。尤も日本の5バックを崩すのに手を焼いていてドイツ-コスタリカ戦をコントロールすることは不可能だったから、本当に2位通過で良いと考えたのはAT含む10数分だっただろうけどね。これがノックアウトステージなら最終盤はどうなっていたかは分からない。
森保はやっぱり戦略家ではない。
効率の良い勝ち方とか言われもするが、ドン引きからカウンターはドイツ戦も一緒。スペイン戦で違ったのはスイッチの入るタイミングで、いわば奇襲と言って良い。体も目も前半の日本に慣れ切ったスペイン、三苫と堂安が入るということは前に出てくると分かってはいても実際ピッチにいる選手がそこまで別物のチームになるとは思いもしなかっただろう。
こうして見ると戦略家に見えるが、この4年間善し悪しの波が大きくつまらない試合を多く積み上げてきたことを糧とした真面目な監督で、決して戦術の引き出しがあるわけではなくスペイン・ドイツ故に弱者の戦いに徹したこと、何より選手がそれに耐えて何れも1失点で堪えた事が勝ちに繋がった。思えばブラジルとの親善試合もドン引きでつまらなかったがPKでの1失点に抑えた、あのゲームでガチの試合でもドン引きである程度抑えられることを掴んだのではないだろうか。
ドイツが再逆転してからエンリケがカードを切ったのは先を見据えて多くの選手を慣らしておく事とターンオーバー的なところだろう。交代で入った選手はマジだが、スタートからいる選手とは少し合わない感じで前半のようなスペインたる姿はあまり無かった。そこには富安と遠藤を入れてより守備を固めた日本があったからだが、2位抜けを善しとするエンリケの考えがそうした流れを作ったと思う。
戦略・戦術においてドイツ戦は即興だし、スペイン戦は奇襲で何度も成功するものではない。凡愚故に真面目に積み重ねたものがあり、それを下地に博打を打って当たったというのが正直なところだ。
褒めるべきはそれで結果を出した選手達で、指揮官はGL3節で5.5点といったところ。通過したからこの点で、戦略・戦術の観点から見ればもっと低い。繰り返すが弱者の戦い方故に明らかな格上の方が徹底できた=やりやすかった。
これは今のカタールでは良いが、未来のために得るものは結果以外少ない。だから未来を考えるならもっと引き出しが多い人選を望む。
次は力がもう少し拮抗してくるし、負けたら終わりのクロアチア戦。ここは戦術の懐の深さが必要だ。もちろん5バックでドン引きしてスコアレスPKにという手もあるが果たして。