Aug,11 2023 なでしこ vsスウエーデン-終戦
先ず先日のノルウェー戦のメンバーがベストなんだろうと思うが、遠藤を杉田に替えてきた、これは守備に重きを置いた形であり勢いのあるなでしこを減速させる嫌な気がした。
このゲームもノルウェー戦同様圧殺=攻撃は最大の防御とするのが基本だ。
入りはイマイチ、押し込まれて全体が下がっている。セカンドも拾えていないがスウェーデンのハイプレスにパスが繋がらずロストが多い。
どうにか凌いでタッチに逃れてはいるが、ビルドアップではことごとくパスを切られている。
とにかく入りはなでしこの長所を消されている。
逆にスウエーデンのバックラインはハーフウェイラインに近いくらい高く、逆の展開。日本が嫌なフィジカル押しをやってきてる、よく研究されてる。スウエーデンはファールが多い、これは結局FKを与えても凌げる自身があるからこそ強く出られるからだろうが、フィジカル押しをさるのはしんどい。
10分と少しを過ぎて少し五分に戻したが、恐らくスウエーデンは早い時間に点を獲って守りを固めてカウンター狙いだろう。ただ10分を過ぎてもボールは持てても決定機を作れずでプランBにした感じだ。実際最終ラインは少し低い位置にきてる、3-4-2-1の4にボールが入るところを狙い、そこにボールが入ると守備に行くようになった。
おかげでバックラインがボールを少し持てるようになり多少落ち着きは出た、しかしボランチの二人にはかなり厳しく来ているし、パスもスウエーデン選手の出てくる足にかかる。杉田ではなく遠藤であれば、そこからもゲームメイクができるから押せるが、杉田ならより長野と長谷川と清水に寄せられるし清水はゲームメイクというよりアタッカー的な要素のが多い。中盤3枚にスウエーデンは5枚となり中盤を掌握されてる。
ノルウェーとの一戦は北欧勢への慣れ・対処ができたのと同時に、スウエーデンに対しやってはいけない事を教える結果にもなった、さらに遠藤を外したことで一層押せる展開にはなった。それでもかつてのアメリカがそうだったように、最初の10分ちょいが良いところで、延々続けられはしないが。
前半の中ほどはお互い攻め込むシーンが見られたがお互いに決定機を作るに至らずだったが、30分遠目のフリーキックからゴール前の混戦から押し込まれた。このあたりも高さというより力押し=アメリカがよくやってくるやり方かも。長所を消して弱点を突く、この時点では完全にスウェーデンペース、ただコーナーキックを見てもそうだがパスの精度など足元はイマイチだ。
なでしこはどう改善するか、ちょっと気になるのが田中のファーストディフェンスの位置が少し下がり気味で追えていないこと。
ここが下がると全体が下がる、もとい杉田を使っているのだから後ろを下げたから必然前も下がったか。田中とシャドーの二枚はもう少し勇気を持って前を追わないと厳しい。中盤飛ばす戦術ありなんだぜ、GKとDFラインのボールにアプローチしないでそうする?故に5-4も間はそれなりだが2シャドーが守備で下りることも合わさり中盤の狭い範囲がごちゃついて人数いすぎてボールウォッチャーになり勝ちとなりそこをすくわれている。
前半終盤また攻め込まれている、ハーフウェーライン辺りで奪われてミドルも打たれ山下のファインセーブが無ければ0-2だった。
自陣や自陣ペナ内に人数はいるが機能不全になっている、悪い時の典型的なパターン。
どうにか0-1で前半を凌いだ、与えた決定機は多くない。失点も泥臭いものだが必然でもあった。ただ前半0-1ならまだ勝機は作れる。
0-1は想定内のものではあったと思うが、リトリートからのビルドアップで長野・長谷川を抑えられ詰まる事が多く、守備を整えられアタッキングサードで遅くなる。
前線のプレスはしなければ駄目だろう、ノルウェーより確実にポゼッションしていてそこを抑えられないのは日本の役割分担を殺されているから。
ボランチからシャドーに付ける縦パスも入らないが、結局下がって詰まってるからストロングポイントのダイレクトプレーができない。
U世代でよくあるのが圧倒的な強さで上がってきてQFくらいでトンコロ食らうゲームは今までいくらでもあった、そのパターンに近い。
杉田より遠藤の方が対峙するサイドの選手をポゼッションで押し込める、そんな気はするが、後半どう改善してくるか。かなり厳しい戦いになるのは間違いない。
ここまでは仕事中ながら見ながら書いた。
後半早々にまた失点したが、これはゲームを決める失点か。
後で見たらPKを与えた、長野の手は確かに広がっていてPK取られるに相応しい。VARがあるからペナ内で浮いたボールにいく時は必ず手を後ろで組むのが当たり前で、これは長野のミス、プレミアでだっておなじだろう。
後はスウエーデンはもうゴール前を固めるだけで済む。日本にボールを持たせて中盤で摘み、あわよくばカウンター、ボランチを封殺されたなでしこに打開策はないか、結局全体にやや下がり目で受けに回ったのが災いした。
見てる方も浮足立つが、やはり全体にラインを上げて攻撃に人数かけられないとチャンスすら作れないか。
そう思っていたらスウエーデンが下がった。中4日はあまり関係ないと思う、アドレナリンが解決する。2点差なら残りは凌げると踏んで下げたか。
引いたほうが負ける、スウエーデンが引いたおかげでなでしこが攻め立てる。植木が倒されてPKを取った、あれはPKではないと見る向きもあるだろうし普通ならPKではないと思うが、後半開始早々にスウエーデンにPKを与えている=PKが取られやすい状況ではあるのでやはりPKだと思う。
ただここでPKを蹴るのが倒された植木、0-2で負けていて押し込み始めた時間でのPKだ絶対に外せない、ならザンビア戦で外してる植木には蹴らせない。そういえばノルウェー戦の終盤でペナ内でフリーの宮澤が自分でシュートを打たず植木にパスを出して収められず4点目を逃したシーンがあった。このシーンについてネット上では何の意見も解説も見たことが無いが、あれは調子の上がらない植木へのプレゼントにしか見えなかった。
仲良し。
良い意味で多くをもたらしたが、勝負への厳しさについてはマイナスだった。
2011なら宮間が蹴る、それがほぼ決め事だったし、フォアザチームというチームスポーツの原点を考えれば、ザンビア戦で蹴りなおしが無ければPKを外し、他にも枠内へ蹴れてない植木に蹴らせる仲良し(若しくは采配)が仇となった。
その後引いたスエーデンに攻め込み1点を取ったが、藤野のキックがバー直撃でGKの背中に当たり再度ポストとツキも手繰り寄せられない流れ、勝負事への厳しさに欠けたことが最大の敗因。
対スウエーデン、終わって見ればスウエーデン強かったという論調が多いが、そんなの解っている事。2011ドイツ・アメリカに勝ったが、どちらも10回やったら1~2回勝てれば良い方というもので、それに比べれば今回のスウエーデン戦はまだ勝機はあった。
ただ、指揮官自ら遠藤→杉田として引いたことで、中4日できついから体力あるうちに全開でというスエーデンに対し受身に回り、スウエーデンの思惑に自らはまり勝機を手放した。
バランスで杉田というのは良い言い方で、中途半端でもある。宮澤とのコンビネーションを考えてもスウェーデンに利したが、そもそも選考時点でこの様なことをするなら鮫を呼んでいないとね。
池田監督は高倉さんから引き継いで2年足らず、よくここまで纏めたし戦術も落とし込んだが、潜在的にあったチーム内の甘さとチームの勢い・流れの機微を読めなかった(兵家は普通この程度読むが)、読んだが入りからバチバチやって事故る可能性を嫌ったか(その程度のリスクは覚悟しなければムリだろ)、来年の五輪前に勉強できたかな。
何れまだ発展途上のチーム、指揮官の兵家としての成長にチームの戦術の幅、仲良しであるが故の厳しさも身につけて欲しい。