May,13 2024 Two Happy#3 by Channel Islands Surfboards
例によって、同じモデルを3本目のインプレッション。
正直パフォーマンス系なら浮力さえ合っていれば、滑り出しが悪くなければどれも大して変わらない感じ。
それでも同じモデルを続けて乗るのは微妙なシェイプやグラッシングまたサンディングによる誤差があっても計算ができるからで、年一で乗り潰しちゃうか良くてもそこらじゅう凹ませたりリペアによる変形で2年乗ろうとは思えないことが多いからだ。
昨年の#2は一昨年の#1より軽く薄くより小さいコンディションでも良かったが、今回は果たして。
コンセプト
コンセプトはこれまでと同様で押しのある腰~腹(ちょっとトロくて押さなくても前に出る板がいいが、そこはやむなし)からオーバーヘッド・頭半、場合によりダブルまで。
日本の日常的なサイズと少しイージーな台風のDay的な波で普段使い。
まぁサイズがあれば少し滑り出しの悪い板でもどうにかなる、例えばFredRubble#4は厚みを出して少し失敗したが逆にラウンドテールとその厚みでサイズある波で調子よかったので多く使っていないが保管してある。
微妙なのが腰~腹たまに胸ってコンディションで、FredRubbleと比べて押さない腰はきつく腹胸がたまにだとEPSのNewFlyer#3と迷う。押さない胸ならNewFlyer#3で充分だが胸サイズで掘れると短いし反発を活かすより抑えた乗り方になるからだ。
やはり適正レンジの少し小さくなるFredRubbleの方が腰~腹の時は扱いやすいが、Happyの良さを胸以上でと思えばこちらになる。そんな細かい所の差異で迷子になりそうな選択だが、昨年の#2のように軽く薄く上がることで小波への対応性が上がることを期待した。
Dimensionメーカー:Channel Islands(チャンネルアイランド)
モデル:Two Happy
大きさ他:5'7 18 3/8 2 1/8 23.3リットル 2520g(デッキパッチ貼り・WAX塗布後)
上がってきたのは一昨年の#1とほぼ同様のものだった。
#2がかなりボコボコで計れるところが少なかったが、テールのストリンガー部分で1mm強厚さが違い、全体のボリュームも#1に近い。#1よりレールの落としが少しテーパーっぽいが、厚いね。何より#1が2400g#2が2330g、比較的小さめの波でも調子の良かった#2と比べると200g重い。2200gのものが200g増えるのは1割増しとなるので決して小さくない。
これは数字のマジックではなく、計量前に持ったらはっきり重いと判ったし実際乗ってもトロい腰サイズでは鈍重と感じる。何がって乗った先の腿くらいの速く閉まるセクションで、板を上げて下げてで落ちるリップにこすって〆る、こんな動きが重い。
これがスっと上がってパーンと返るのはEPSのNewFlyer#3、#2なら下げての動きが返す動きになるが#1やこの板では合わせる感じとなる。
昔ノーズに少しの樹脂の塊を付けたらそれだけで乗り味変わるとプロが言っていたことがあった。200gの差はプロならかなりでかいと思う、乾燥した樹脂で200gってけっこうな量になると思う。
自分が乗っても走り出しはともかく小さい波の時の動きに重さを感じるが、その主因は重さより厚みかもしれない。前述したFredRubbleがそうだったが、厚いと小波の時の足応えが弱い。普通に薄い方がレスポンスは良いとされるがそのまま。#1でも腰~腹は普通にやってたからダメということはないだろうが、腰くらいでトロいインサイドセクションなどは難しいかも。
数値化職業柄(Webとネットマーケティングとか)数値を扱いそれを基に仕事をするせいか、感覚も必要と考えるが感覚に対し腑に落ちる数値や言語を求める。
玄人の感覚にしても、それを言語化・数値化しなければ腑に落ちない(レールやロッカーの形状はマシン等設備がないと表し辛いけどね)し、逆に一般の方の感覚が例え正くても信用され辛いだろう。
信用されなければシェイプへのフィードバックも疎かになるかもしれない、高額なものの制作にあたっては極力言語化・数値化したものを用意したいと思う。
サーフボードに対して多くの方がリッター数は関係ないくらいに言っていると思うが、俺はこれまで同じモデルを複数乗って、長さと幅と厚さを変えまた他に少しとテール形状も変えてきたが、その違いを感覚だけでなくはっきり理解するためにリッター数などの数値も確認必須事項と考えている。
ディメンションを弄れば当然リッター数も変わってくる、0.1や0.2の違いならたいした差はないが1リッター程度違うと厚みでは2 3/8と2 1/8くらい=1段階違ってくる。
FredRubbleは22.8リッターくらいでペラペラだがロッカーが強くないからか走り出しは良い、Two Happyを作る際基本をこの数値としてFredRubbleより全体に少しボリュームはあるがロッカーが強いTwo Happyなら腿腰腹サイズを考えると同じ寸法で少しリッター数の上がるものでよいと判断した。
結果対象となる波のレンジが違い#2以外でそれを埋めるに至らずだが、感覚の言語化と数値化をすることで曖昧さが無くなり役に立った。 故に細部はその時の自分がどうかなどにもよるが、微妙な加減で済むのでオーダーした場合でもハズレは引き辛い。
重さもそうで、今回の#3は走り出しにはプラスに働くだろうが小波での取り回しにはマイナスになるだろう。
#2のボコボコ加減を見るとサンディングで飛ばし過ぎたか、グラッシングを4E+4Eではなく4Sにしたかなと考えられる。軽い故に扱いやすいがTwo Happyというモデルの本来のパフォーマンス、デカイ時に少しデメリットに働きそうだが良い板ではあるがオールラウンド性を考えるとマイナスの方が大きそうで、#1や今回の#3との比較で今まであまり気にしなかったグラッシングをも考えるようになった。
まだ板が上がってきたばかりだが、4S+3/4 4Eか4S 4Eまたは新たに出た6S 4Eにして軽く上げてもらうのがいいかなと思った。恐らく自分の場合は重さよりもレスポンスに通じる厚さなんだろうとね。フォームを薄くせず仕上がりで軽く薄くというのは強度に問題が出るから微妙だが、一年ごとに買うならボコボコになる4Sでなく少し強度のある6Sかなと思った。
Impression今回オーダーから半年かかってようやく上がった板。
過去2本と同じディメンションでのオーダーとはいえ#1と#2では厚さ・重さが違い、#2は#1より小波への対応が増したことからオールラウンド性が増したので今回更に良いものが上がってきたのではと期待していた。
だから混雑が無くクリーンな波でおろしたいなどと考え、ちょうど朝は北風で比較的空いているであろう和田でおろすことにした。
当日は押しが弱くトロい腿~腰たまに腹近くといったTwo Happyには正直向かないコンディション、ミッドレングスやフィッシュなど浮力があるクルーズ系が合う波だったが、テストという意味ではクリーンで小さくトロい波ってのもありかなと、セットならアクションはできるだろうと前向きに考えた。
腿サイズのショアに向かって踝くらいになりブレイクが切れる波は横に滑る程度、繋がって閉まる波で閉まり際の崩れ始めたトップに合わせる若しくはそこをこすってフィニッシュくらい。腰からは厚くても消えなければカーヴや軽いリップアクション、セットでようやくカーヴからテールを流して掘れてくるのを待って先があり繋がり閉まるならブレイクに合わせてロールイン。
例えばEPSのNewFlyer#3ならそちらの方がターンもアクションもできる、もちろんサーフィンスキルにもよるがちょっと押さな過ぎだった。
でも前向きに考えれば小さい・押さない場合、下限のコンディションが見えた。
#1より少しレールは薄いが重い仕上がりに不安はあったが#1よりは小さくても扱える印象。腰腹程度ならこれより1mm程度薄くて軽い#2の方が対応してくれる。
普段使い・オールラウンド・パフォーマンスという相反する要望をすべて完全にというものはなかなか無い、つまるところどのレンジでの板を所望したかになるのかな。Two Happyをオールラウンド向きにと少し小波様に弄っただけでは押さない腿腰は捨てるべきだろう。
まぁこのラウンド適当にアクション出来たし、オンショアが入ってからはフェイスの立つセクションもできてそこでは腰サイズでも軽快にリエントリーできたから、まぁ上々といった感じ。
2nd imp二度目は爆オフ混じりの腰~腹、初回とは違い形になるしファーストブレイクからは厚めだがインではフェイスが立って普通にアクション出来るコンディション。
変な話#2より重いのでこうしたオフの強い波では出やすいかも。恐らく#2との比較でグラッシング分厚いのであろうこの板は浮力が増したのではなく単に厚さと重さが増しただけと考えられるがそれが、それがプラスに出るコンディションかな。
ミドルからのトロいセクションはしごくかパンピングかといったところだが、イン寄りにきてフェイスが立ってくるとダウンザライン、レールを入れて降りつつ(ここが重要)アクションするセクションに合わせる。これはそういう波だからこそだが、板の重さがあって安定を得られるものかなと、たかが200gだが小さくない、実際#2より小さい波や押さない波では取り回し辛いがここではプラスなんだろうな。
テールも厚い分レスポンスは落ちるが慣れでどうにかなりそう、もう少し踏み込みを深くしたいとも思うからこれで良いかなという感じ。
腹サイズでややイン寄りから切れたブレイクでは気持ち厚めのセクションでリエントリーからダウンザライン、フィニッシュのロールインは縦にって納得のライディングもできた。全く違うものになったわけでもない、#2の軽さに拘らず気持ちレンジを上げてと、自分のサーフィンがもう少し踏み込みの深いものになればと思えばけっこう良さそうだね。
3rd imp3度目は少しサイズのある一宮、深みが多く全体にトロくボヨつきやよれも目立ち中間消える波が目立つ。
押しもサイズなりにあるがうねりが流れるややトリッキーなブレイクで、立ったフェイスでアクションしてもスっとフェイスが広がりうまく行かないブレイクも少なくない。
またパワーポケットが狭く、トロいブレイクの際からカーヴしようとしても小さく纏めないと置いていかれる。ロングやトランジションには良いがパフォーマンス系には難しい。
フェイスのベタっとしたところでのカットバックは存外やりやすく、トロくて掘れて繋がるブレイクにはちょっと良い。ボヨついてフェイスが立つよりトップだけブレイクが始まったくらいに当てたほうが良いセクションで、ボヨつきで推進力がスっと抜けて置く形になってもブレイクの押しを受けてクリティカルに返る。
ただ波がペタっと広がりつつ隣と繋がるセクション、ブレイクがトップだけで下がうねりになってボヨつきでモサっと割れる場合はスープに隠れたうねりにレール喰って落ちる。この時のブレイクだと横へのロールインのイメージだが、こうした喰っちゃうところがあると#1と同様ズボる、ロールに合わせた後にレールを抜いて前に出すレスポンスがイマイチなイメージ。
スープといより厚くもっさり崩れるカールで繋がるその後にリフォームなどもないからといってロールインに持っていくのも悪手なんだろうが、そこを見切ってカールの下でカーヴィングってイメージが起きない。カール・スープが目に付く故の思い込みからだが、カーヴィングも波の裏に板が出てと思うところもあるので、カールの下でという意識にならなかった。
やはりロールインするなら板が返る時にレール抜いてうまくカールと降ろさないとダメだし、意識の問題でカーヴしないってのは見切りの悪さもあるので乗ってる当人の問題ではあるが、#2ではあまり感じなかった#1の悪癖を改めて痛感した。
後はうねりがシフトする頭サイズのややジャンクなブレイクでカーヴィングに行こうとした中で、レール喰いっぱなしで先に出すぎて角度が浅くなってカットバックになったのも薄いが抜きやすい#2との比較でマイナスかな。
技術が足らない分は板でって考えてる、プラスもあるがマイナスもあって、ちょっとしたレスポンスの悪さでサイズのある波でうまくないのは痛いかな。乗り込んで慣れて少しパワーを上げてレスポンスを上げてと考えてはいるが、6本乗ったFredRubbleは同じ寸法で作っても0.5リッターくらい、重さも100gくらいは小さいから厳密に厚さもオーダーしたほうがよいかなと今回は感じた。
このたかが0.5リッターと200gの重さの違いを感じる自分が悪いのか良いのかってのもある、もっと使い込んでから考えよう。
まとめ(数回乗ってのものだけど)良い板だよね。
#1と変わらないしその薄さ故小波でもより反応の良かった#2と比べてもサイズそこそこ(腹胸以上)なら問題ない。
CIの板に関してはいつも思うが「優等生」。走り出しは悪くないしリエントリーやカーヴを普通にできるサーファーなら良くないって言う人は少ないと思う。
だが優等生故に物足りない部分もあると思う。なんか突き抜けるものが無いという感じだが、それがある板は悪い場合もその振れ幅も大きいことが多いからコンディションによってはよろしくない。#2(ちょっと無いくらい薄すぎだし軽いよね)のように優等生的でありつつより小波にも対応出来てレスポンスが良いと良い所謂マジックに近くなるかな。